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ドナー(Donor)の手術に行く

飛行機で行く

車で行く


飛行機で行く

 当移植外科の肝移植はDonorの供給をテキサス州の西半分から受けています。South Western Transplant Allianceという組織がドナーの管理をしていて、ドナーの候補者が出るとこちらに連絡が来ます。詳細はUNOSの項にて。
 さて、連絡があると車で行かれないときには飛行機で肝臓をとりに行きます。ダラス市内にはLovefield空港というちょっと小さい空港が、病院から20分ぐらいのところにあって、そこのJet Aviationというところで待ち合わせになります。Love Field 空港には普通のターミナルがあってSouthwest航空という航空会社が入ってHustonなどの近距離の交通を担っています。さて、この日は11時に空港に待ち合わせとなりました。空港は、普通のターミナルの手前のちょっとした事務所のようなビルです。ここの航空会社はチャーター機を主に運行している会社なので、待合室にはちょっとしたエグゼクティブといった人が2人ほど待っています。
 空港でAttendingとSouthwestern Transplant Allianceの人と待ち合わせると、さっそく8人乗りの双発ビーチクラフト機で、今日はCorpus Christまで行くことになりました。プロペラ機の場合はパイロットが一人なので、コパイロット席に乗せてもらうのが苦しいFellow生活の中で数少ない楽しみです。大きな旅客機に混じって小型機で空港から一路南へ向かいます。ダラスからはおよそ2時間のフライトです。Attendingはちょうどいい休憩時間だといって寝てしまっています。
 2時間くらいたつと、テキサスでも南のほうへ位置するCorpus Christの空港が見えてきます。空港は、かなり町の中心部から離れた農村地帯にありました。われわれを乗せたビーチクラフト機はそこへ降り立ちます。降りると病院の救急車がすでに待ち構えていました。
 病院の救急車に乗り込むと30分くらいかけて、市内のとある病院に向かいます。アメリカでは子供もDonorになりうるので、子供の全肝移植というものも行われています。救急車で30分ほど走るとこの町の子供病院に到着しました。すでに前の日に到着したSouthwestern Transplant Allianceのショーンとジョーの2人が待っていました。
私自身は小児外科が志望なので、さすがにドナーが子供だとかなりぐっと来ました。ドナーの子は13ヶ月で髄膜炎で亡くなった子供のようです。VP Shantまでおいて頑張ったようだったのですが、残念ながらなくなられたようです。この子のおかげで4人のrecipientが助かるということで、その志しを汲まさしていただきたいと思います。この日はトロントから心移植のチームが来ていたので心臓はトロントへ、肝臓はダラスへ、腎臓は途中のヒューストンの近くの町に下ろしていくことになりました。
 アメリカの場合はいろいろな病院に医師が行くということは普通に行われていますが、移植チームほどいろいろな病院に行って手術をするということは無いでしょう。
 無事に肝臓と腎臓を摘出すると、また空港に戻って飛行機に積み込みます。来る時と同じ救急隊の人が、われわれの面倒を見てくれました。
 飛行機のパイロットもほとんど顔見知りで行きかえり同じ人が操縦をします。今回は途中Huston近く
Scoles Fieldという空港で、腎臓だけを落とすことになっていました。飛行機は途中空港の町に立ち寄って腎臓だけをコーディネーターの人が落としていきました。
 飛行機は再び離陸すると今度は一路ダラスを目指します。この日は11時に空港で待ち合わせをしてから、ダラスに戻ってくるのは6時を過ぎるころになって空もすっかり暗くなってしまっていました。ダラスの空港に戻ると、今度は肝臓を小児病院にまで届けに行きます。そしてこれから肝移植のRecipientの手術が始まるわけです。



 



更新記録
●2002年5月1日:新規掲載



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